私たちの未来は、いかに地球環境に配慮し、公害や気候変動などの課題に対応できるかにかかっています。その中で、鉄鋼業界における2050年までのカーボンニュートラルの実現には、投資に基づく技術革新が必要となります。
そうした中、再生可能エネルギーからグリーン水素を製造する技術は、持続可能なカーボンニュートラル社会を実現するための鍵として、欧州では戦略的な投資が行われています。今般Nippon Gasesが参画したH-ACEROプロジェクトは、鉄鋼業界における水素バリューチェーン全体に携わる企業同士の連携によって推進されるプロジェクトです。 同プロジェクトは向こう3年間で約12億円の予算が組まれており、スペインのバスク州政府が産業研究プロジェクト支援を目的とした補助金プログラム(HAZITEK)の中で融資し、また欧州地域開発基金(ERDF)も共同で融資を行います。
プロジェクトの目的
H-ACEROプロジェクトの目標は、鉄鋼生産のあらゆる工程において、グリーン水素を代替エネルギーとして利用することにより、鉄鋼業界のカーボンニュートラルを実現し、国連の定める持続可能な開発目標に貢献することです
同プロジェクトに参画する企業は、水素(H₂)を利用した持続可能な鉄鋼生産の実現に向けて、それに適合した先進技術や新材料を開発します。 そのために、鉄鋼業界で水素(H₂)を利用するために必要な技術、ノウハウを習得することを目的として、①最先端設備の開発、②耐火物などの消耗品の開発、③燃料自体(H₂)に関する取り組み、④生産工程と安全性に関する取り組みの4つの活動が展開される予定です。
最終段階では、同プロジェクトで開発した設計を検証するために、縮小したスケール(1/5から1/10)でデモ設備を製作することを目指しています。
Nippon Gasesの役割
Nippon Gasesは、「The Gas Professionals」 として産業ガスに関する豊富な知見を提供します。
例えば、天然ガスや水素、あるいは天然ガスと水素の混焼ガスを燃料とし、酸素を助燃剤としたバーナを開発、製造します。これらのバーナは、鉄鋼業界における加熱炉、電炉、取鍋予熱、タンディッシュヒーターなどに使用できます。
このバーナの導入により、化石燃料の使用量削減とそれに伴うCO2排出量の削減に貢献し、短期・中期的な温室効果ガス削減の取り組みに寄与することが期待されます。
まとめ
H-ACEROプロジェクトでは、鉄鋼業界の技術や生産工程における水素の活用に関する知見を深め、CO₂排出量を抑えられる新しい設備や生産工程の導入に取り組んでまいります